絶対音感をつけます!ということを特徴にあげるピアノ教室をみかけますが、一言でいいます。
「必要ありません!」
音楽をする上で絶対に必要な音感は相対音感です。
相対音感とは
音感を温度で例えると、家の中から外へ出た時に、もし「肌寒い」と感じれば、外の温度は部屋よりも低いことになります。
逆に「暑い」と感じれば、外の温度は部屋よりも高いことになります。
これと同じように「直前に聞いた音」より「次の音」が高いか低いかを感じる音感です。
この音感を鍛えていくと、単に高い、低いだけではなく、具体的にどれくらい高いか低いかが分かるようになります。
例えば「ド」の音を聞いた後に「レ」の音を聞いたとすると「鍵盤1つ分高い音」だと分かります。
更には耳から聞いたメロディや思い浮かんだメロディを楽譜に書いたり、携帯電話の着メロとして打ち込むこともできます。
絶対音感とは
ここでも音感を温度で例えると、冷蔵庫の中に手を突っ込んで、温度計もつかわずに「10℃」と分かったり、
お湯に手をつけて「45℃」と分かったりするようなイメージで、聞こえてきた音をすぐに(私達日本人が「あいうえお」を聞くのと同じくらい自然に) 「ドレミ」で感じる音感です。
音楽に必要なのは、相対的な感覚です。
なぜなら、人は音楽の中で、「前後の変化」を聴き取るからです。
個別の絶対的な何かをばらばらにして聴くというのは補助的に使うことはあっても、最終的なものではありません。
ピアノを練習するときも、前の音に比べて強弱をつける、前のリズムよりゆっくりにする、速くする、和音の変化をつける・・・など、前後に変化をつける目的でやっているわけです。
前後の音の高さの違いに気づく能力が必要なのであり、それをわざわざばらばらにして、音の高さに気づく必要性はありません。
現在の欧米の音楽家は相対音感のみの人が多いと言います。
また絶対音感に頼りすぎる人は、歌があまりうまくなかったり、アンサンブルで音程を合わせるのが不得意なことがあります。
さらに、音高の基準や調律が変動する古楽の演奏や、移調楽器の演奏において、絶対音感しかもっていない人は不能に陥りかねません。
私は絶対音感を持っていますが、上記の移調楽器の伴奏の際に大変苦労した覚えがあります。
ちまたでは、絶対音感があるとかっこいいかのように言われますが、音楽をやる上では不必要どころか邪魔になることさえあるのです。
自然に絶対音感がついてしまうのはいいのですが、特訓してまで獲得するのは考えものですね・・・