同い年ぐらいの子どもが楽しそうにすべり台をしているのに、わが子は近づかない・・・
そんな経験をする親御さんがいらっしゃいます。
『?』と思った親御さんは、先輩やお友達に相談するでしょう。すると大体同じような答えが返ってきます。
『それは性格の問題だから大丈夫よ』
「『慎重』なだけよ。」
「すべり台なんか出来なくても何も困らないじゃない。」etc...
このような答えは、不安な親御さんを安心させてくれるものかもしれませんが、でも本当に放っておいていい問題なのでしょうか。
もしかしたらそのお子さんは、平衡感覚が十分に発達していなくて苦しんでいるのかもしれません。
- つま先立ちで、止まっていられるか?
- 片足立ちができるか?
- 壁や手すりを触らずに階段の昇り降りが出来るか?
こういうことが十分に出来ない状態では、色々な遊具で遊ぼうと思わないのは当然のことです。
『すべり台で遊ばないことには理由がある』ということがわかります。
では、できるようにさせようと、無理強いすることは逆効果です。
まずは、固い地面の上で、ケンパやその他の平衡感覚や体に働きかける楽しい遊びを充分にやると良いでしょう。
大先輩のお母さん方やおばあちゃん世代の方々が、経験的に『大丈夫!』とおっしゃるのには、それなりの理由があります。
なぜなら50年前なら、未熟さがある子どもでも勝手に、山登りやケンパなどの遊びを充分にやり、自然と平衡感覚が出来あがり、気がつけばお友達と同じように動ける,という流れになっていたからです。
ところが、子ども達の遊び方は様変わりしました。ちょっとした発達の未熟さがあったとき、前段階の練習(平衡感覚等を養う遊び)が出来ないまま、ずっと過ごしてしまうことが非常に多いです。
『すべり台が出来なくても大丈夫、遊具で遊べなくても大丈夫』
と考える前に、確認すべき事があります。
そしてこの平衡感覚、ピアノ演奏にはものすごく重要です。
これが十分に養われていないと、ピアノのタッチの加減が非常に難しくなります。
とんでもなく大きな音でしか弾けなかったり、ちょっと弱くしてみようと言うと、ふざけているみたいに音がほとんど出ない、また、動きが直線的でなめらかでない場合も平衡感覚の未熟さによるものが多いです。(わかりやすく平衡感覚のみ取り上げていますが、もちろんこれ一つだけの仕業ではありません)
このような特性を持ったお子さんは、どうしてもふざけているように見えるので、普通のピアノの先生からは「もっと練習しなさい」と怒られることがしばしばでしょう。でも、練習不足なのではなく、できないのです。
最近は、生徒さんが抱えている発達の未熟さに気づき、その様子に合わせて、シュタイナー、感覚統合、フェルデンクライスを応用した体操のようなことをレッスンに取り入れることができるようになってきました。
ようやく勉強が形になってきた感覚があります。(まだまだ道半ばですが)
ご興味ある方はお問い合わせくださいませ。
目の前に居る生徒さんに『?』を感じた時、その理由を見つけてあげたいと心底思っています。
※シュタイナー教育を応用して、発達支援にあたっている長尾まさ子先生のブログより引用させて頂きました。