11月の発表会へ向けてプログラムを作成中です。いつも全力で書いている「講師挨拶文」が書けましたのでこちらに掲載します。
のびのびが私たちの未来を作る
子供たちがのびのびと育てられると、自分で考え行動する力を身につけます。しかし、社会の要求が子供たちの自由な成長を妨げることもあります。例えば、「姿勢をまっすぐにしなさい」と注意された経験があるかもしれません。
【座る姿勢について】
私たちは子供のころから、学校などで長時間座ることを強いられます。ですが、座るときに機能的な姿勢を教わることはまずありません。
そのため、子供たちは骨盤周りやお腹、胸の筋肉を過剰に使ってしまいがちです。その結果、すぐに疲れてしまい、前屈みになって丸くなってしまいます。これが「悪い姿勢」とされることが多いですが、実際には長時間座る負担を軽くしようと脳が自然に調整した姿勢なのです。
もし、そうした姿勢の子供に対して「姿勢をまっすぐにしなさい」と言うと、子供は機能的な姿勢がわからないまま余計な力を使ってしまい、さらに疲れる座り方を学ぶことになります。
このような状況は、生活のさまざまな場面で繰り返されます。
例えば、怒られる、やりたくないことを強制される、過度の努力を要求されるなどが挙げられます。これらは緊張を引き起こし、筋肉が不必要に固まる習慣を作ります。
大人になってからの肩こりや腰痛、緊張感などは、子供のころの教育や環境が影響していることが多いのです。
【達人の能力について】
一方、どの分野でも達人と呼ばれる人は、その動きが非常に自然で、余計な力が入っていないように見えます。
例えば、プロのピアニストは、演奏中に無駄な力を使わないのに対し、アマチュアは力を込めて弾くという研究結果があります。
達人は、無駄な筋肉を使わず、楽に自分の能力を発揮します。
このような能力は、辛い練習では得られません。
忍耐強く、自分にとって楽な方法を探すことで身につけることができます。
自分の感覚を研ぎ澄まし、楽な方法に気づくことが能力の始まりです。
そのためには、無駄な力みがないことが重要であり、無駄な力みのない体は、のびのびとした子供時代の生活から始まります。
もちろん、大人になってからも、講師かなざわが学んでいる『フェルデンクライスメソッド』などの身体訓練法を学ぶことで変化させることは可能です。
しかし、与えられた能力を存分に生かせるように子供の頃から育てられたら、と思うのです。
私たちは、能力に対する新たな視点の転換期に生きています。
究極の省エネ、アルゲリッチ
のびのびと自由に育ち、究極な脱力、究極な省エネで演奏するピアニスト、ピアノの達人アルゲリッチ。
80歳を過ぎても現役どころか、若い頃よりますます弾き方が洗練されパワーアップしています。
7分6秒辺りと、29分53秒辺りから特に超絶技巧ですのでぜひご視聴ください!