元知的障がいで自閉症の息子、スキーのバッジテスト3級合格!

元知的障害で自閉症の息子(中1)が全日本スキー連盟が定める技能テストであるバッジテストの3級に合格しました。最近の彼の日常について書きます。

講師かなざわの自閉症の息子なおき、彼の最近の日常を書くまえに彼が昔どのような状態にあったかを書きます。

 

赤ちゃんの頃から寝ない子でギャン泣きし、家族を世話によって疲弊させ息子諸共全滅してしまうのではと思った過去があります。今では笑い話ですが当時は本当に深刻でした。

 

【感覚過敏】

ちょっとした物音でぎゃーと泣く。掃除機の音が怖すぎて掃除機をかけさせてくれない。(聴覚過敏)

決まったパンと水以外口に入れない。(味覚過敏)

クリームを体に塗るのを激しく嫌がる。(触覚過敏)

水が顔にかかるのを極度に怖がる(触覚過敏)

これをやろうと言うと怖くてやらない。自発的なことしかやらない。(触覚過敏)

トイレのウォッシュレットの音が怖くて水を流すことができない。(聴覚過敏)

ほんの少しでも暖かいものは食べられない。冷え切ったものしか食べない。(味覚過敏)

 

【自閉圏ゆえに】

いつも決まった服や靴しか着ない。

なんでも真っ直ぐに並べる。

漫画の番号が数字通りに並んでいないと怒る。

場所見知りでどこかに出かけるとすぐに「帰る」と言い、帰らないとギャン泣きする。

紙芝居でみんなが先生のところに集まっているのに、なおき1人だけ違う場所で寝っ転がっている。

体育の時間でみんな先生のところに集まっているけれど、なおきは1人で落ち葉を探して遊んでいる。

授業が始まると離席してエレベーターを見に行ってしまう。

 

【言葉の遅れ】

小学2年生くらいまで言葉でのコミュニケーションが難しく、学校でどのようなことがあったのか本人から説明してもらうことができない状態にありました。

 

このような状況から成長し、昨年の知的障害判定により知的障害領域を遥に超えて、知的障害グレーもすっ飛ばし、正常領域に達したため療育手帳を返却。

 

感覚過敏についても日常的にほぼ支障がないまでになりました。

🔹時々苦手なものはありますが、野菜や肉、卵、魚を美味しいと食べるように。

🔹顔に水がかかることが恐ろしくて小学5年まで学校のプールは見学していました。今では100メートルを悠々とクロールや平泳で泳げるように。

🔹人から何か指示されることに応じることが難しかったのですが、今ではレッスン態度が非常に良い、と合気道の他の大人の生徒さんに褒められるほど好奇心を持った素直な態度で人から教えてもらうことができるように。

 

※感覚過敏は脳機能を向上させることで気にならないレベルや、むしろ得意分野にもすることができるものです。

無理強いでは良くならず悪化させることもあるので忍耐を持って支援していくことが必要です。

上は年始に雑煮を一緒に作った時の写真。

 

そんななおきが初めて冬山に行ったのは3歳くらいの時。

同じ学年のいとこが楽しそうに遊ぶのを横目で見ながら、なおきは感覚過敏により何かが嫌だったらしくギャン泣き。

5分も滞在できずに帰ることになりました。

その後も何度かトライしましたが難しく、スキーは無理かなと思っていた矢先、小学3年くらいから応じてくれるようになりました。

 

言葉の発達が十分でなかったので心配もありましたがスキーのクラスにも毎年入り(もちろん個人レッスン)、年に1回続けてきた中学1年の今では、パラレルターン、シュテムターンを自由自在に操りかっこよく降りてきます。

先日はスキー連盟の技能検定である3級のバッジテストにも合格しました。

テストは大人4人となおきの合わせて5人の受験者がいたそうです。

 

3級の合格基準

■種目:

├基礎パラレルターン(整地)/緩〜中斜面

└シュテムターン(整地)/緩〜中斜面

■評価の観点:

├状況・条件に対応して滑る能力

├ターン運動の構成

├斜面状況への適応度

└運動の質的内容

■評価方法:

└講師(公認検定員)は、講習を通して評価する

■合否基準:

└1種目最大値100点×2種目で200点満点中120点以上(60%以上)を合格とする

■受験資格:

└年齢制限なし

 

運動の発達は自己イメージを拡大させるチャンス。

逆に運動が得意でなかったり、不器用であったりすると自己イメージはいとも簡単に落ちます。

人間は自己イメージによって自分というものを認識しているため、運動の発達を促すことは非常に重要です。

 

学校では在籍は支援級、勉強は全て通常級で行なっています。

英語と数学、社会は得意教科でテストはクラスで上位を取ることも多くなってきました。

 

上の写真は美容院でスーパーサイヤ人になった様子。

 

最近嬉しかったのは、なおきが障がいを逆手に利用して話すようになったことです。

買ってと言われていた歯磨き粉を買ったのに一向に使おうとしないので、

「いい加減使えば?」と言うと

「自閉症の特性で、2月1日ちょうどから使いたいんだよね〜。」

とか。

買ってきたもののパッケージをいつまでも捨てないので

「そろそろ捨てようよ」と言うと

「ごめん、自閉症の特性で物に愛着がわくとなかなか捨てられないんだ」と。。。

 

このようなことが言えるようになる背景にあるのは、相手は違う考えを持っている、とはっきり認識している成熟した脳にあります。

これが自我の発達、大人になる、成熟するということ。

自分と相手は違う人間であると理解することは、自分と相手との境界線がはっきりとしていることでもあり、自己イメージが明確になっているということが言えます。

 

なおきの教育は周りの質の良い大人によって支えられています。

ビジョントレーニング、合気道、水泳、ギター、療育、ボルダリングの先生など。

教育は本来個別のものだと感じているため、合気道とボルダリング以外は全て個人レッスンを受けています。

合気道やボルダリングに行くと大人が多いのですが、この大人の方達の質がまたすごく良いのです。

 

中学生になると勉強ばかりになってしまうことがありますが、こんなに脳が成熟する時期にもったいなさすぎです。

中高こそ勉強以外のことをやる時期、最も伸びる時期です。

なので息子には第一に習い事、次にやりたいこと、それが終わって時間があったら勉強という考え方でやっています。

 

なおきの教育の基本はフェルデンクライスの考え方にあります。

生物としての人間は何をするために生まれてきたのか、心身ともに本当の健康というものを将来に渡って維持していくためにはどのように育てていくことが必要であるか、フェルデンクライスは自分自身の経験を通して教えてくれます。

 

人間が他の動物と絶対的に違うものが一つあります。

それは、環境により自分を発達させていく生き物であることです。

これは、何らかの障がいがあり未熟であってもそこを発達させ、成熟させていくことができることを示しています。

 

そして子供に環境を提供する親こそが、自らの体験を通して何が適切であるかを知ることが実は、子供に何かを施すことよりよほど重要なのです。

なぜなら子供に環境を与えるのは親であるからです。

 

そこで、自らの体の動きから人間というものの本質を学べるフェルデンクライスを応用したグループレッスンを今年開講します。

 

支援を必要とするお子さんの親御さん向けのグループレッスン

コンシエンシア・コース

ピアノをもっと上達させたい、痛みなく楽に弾きたい方のグループレッスン

プロベクタ・コース

 

二つともオンラインで行います。

もしその時間のご都合がつかなくても音源をダウンロードできるためいつでもどこでも学ぶことができます。

ご興味がありましたらLINE公式か、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

 

指導にあたって

当時、講師かなざわの1歳の息子がピアノで楽しそうに遊ぶ姿に感激しました。これは、その当時のかなざわにとってピアノは『楽しい』ものではなくなっていたからです。

 

人は本来、ピアノが楽しくないとか苦手だとは思いません。しかし、ピアノが苦手で楽しくないと感じ、結局は諦めてしまう人は多いのが現実です。それを変えたいという思いが、ピアノ教室を立ち上げる原点となりました。

 

お子様にピアノを習わせたい親御さんや、自分自身がピアノを学びたいと思っている大人の方々は、レッスンに何を期待されていますか?

私がピアノを習っていた当時は「上手い」ことが全てでした。

それは音大に入っても変わりませんでした。

 

しかし社会に出て「上手い」人に価値があるというわけではない、ということがわかりました。

それはとてもショッキングなことでした。

そこにたどり着けば上手くいくものだと思って努力していたからです。

これは勉強,就職に対する考え方と同じだと思います。

 

『上手い』演奏は目指しません。

ピアノレッスンそして練習というプロセスを通して『質の良い学び方』を学びます。

「結果」は、『学んだ』後に勝手についてきます。

練習、学びの質が良ければ自然と「上手い」演奏になるかもしれません。

 

 私が準備できるのは、まずは何度でも間違えられる、どのような弾き方でも批判を受けない、つまり「安全だ」と感じる環境を作り生徒さんが本来の力を出せるようお手伝いをすることです。

音楽は非常に歴史が深く人間の叡智が宿っています。

それを演奏する楽しさというのは格別です。

しかし、やり方を誤ると体を傷つけます。

 

私自身が、小学校高学年の頃から体の痛みに苦しめられることになりました。

30代を過ぎてからは治療法の確立されていないフォーカルジストニアという脳神経の難病を発症しています。

痛みや病気の発生はその取り組み方にありました。

 

努力や根性、厳しい訓練がもたらす弊害を、ジストニアをきっかけに始めたメソッド「フェルデンクライス」から学びました。

フェルデンクライスは脳の可塑性を利用した科学的なメソッドです。

動きを通して脳を活性化します。

 

根性論でなく、何か有名な教育書に書かれているからでもなく、ただ脳がどのようにしたら活性化するのか、よりよく学べるのか、それをフェルデンクライスは体験をもとに気づかせてくれます。

 

私の指導の源はそこにあります。

指導とは、その演奏を成しとげるための『新しい選択肢』を提示するものです。

『理想』はおしつけません。

一人ひとりに寄り添い、 その人らしい演奏を尊重します。

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さちピアノ教室はおかげさまで、個人のピアノ教室としては異例のぶるいの多くの生徒さんを持ち、安定した運営を続けています。

 

年度替わりの際に、進学等により多少の空きが出ることがありますが、ほぼ定員いっぱいで、生徒さんを増やすことがなかなかできない状況です。

 

従来の精神論に頼らない科学的な根拠に基づいた指導法をもっと広げ、本質的な意味で生徒さんの人生の質をあげることに貢献していきたいと考えています。

 

そこで、指導方針に共感し、一緒に教室の運営に携わってくださるピアノ講師の方を募集します。

 

【条件】

  1. 音楽大学、普通高校の音楽科、もしくは音楽系の専門学校出身者。または子供の教育関連の学校出身者。
  2. 専攻楽器は問いません。(ピアノでなくてもOK)
  3. 講師かなざわさちのブログに一通り目を通して頂き、指導法に共感、興味を持てる方。
  4. 年齢は不問。
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