2年前くらいに『手を丸くは時代遅れ』とブログに書いたのですが最近急に人気になり、コメントが続々と寄せられていました。おそらくどなたかがSNS上でシェアしてくださったのでしょう。今回は同じくピアノの先生がよく言う「手首を柔らかく」の謎に迫ってみます。
講師かなざわはフェルデンクライスメソッドを応用したレッスンを行っています。
フェルデンクライスとは脳科学を基礎とした動きのメソッドです。発達と上達を促し人間に本来備わっている力を引き出す効果があります。
フェルデンクライスを応用し、その動き前後のピアノ演奏を比較しました。
同じフェルデンクライス仲間の理学療法士や作業療法士、それから動きについて詳しいピアニストなどに感想を聞くと、
「動きのあとは体が繋がったね。いい動きになった。」
と違いが明らかであることを言われるのですが、当のご本人に聞いたところ
「ピアノを弾く感覚が変わったのはわかったけど、動画を観てどのように変わったのかはわかりませんでした。」
と動きが変わったことを「見て」感じるのは難しい様子でした(汗)
ですので動画を観て頂いてもよくわからない可能性もあります。
動きを研究しているピアニスト(私)から見るとどのように変化したか説明します。
【動きの前】
骨盤が少し後ろに傾いていました。無駄な筋肉の働きにより骨格が動きについていきにくいため移動する際に、横に並行移動するようなイメージがあります。手が鍵盤と馴染まないので弾きにくそうでした。
【動きの後】
自然と骨盤が前に傾きました。筋肉が余計な仕事を辞めたことで骨格が動きについていくようになっています。結果的に手首も柔らかく動いているように見えます。
大昔からピアノの先生はよく「手首を柔らかく使って」と言っていました。現在もおっしゃる先生は多いと思います。
私はそれを言われると手首をふにゃふにゃにすれば良いのだろうかと思っていました。
ピアノの先生が言う独特の言葉遣いには疑問を持ったことがたくさんあり、この言葉も「手を丸くして」と同じくらい奇妙な言葉でした。
上の彼にしてもらった動きは背中の伸筋を活発化させるテーマの動き、腕や手に対することがテーマではなくむしろ背骨に意識を向ける動きです。
体は全体を通して機能しています、だから背中の伸筋を活性化し背骨に意識が向いた結果として全体が良くなりました。
その結果、腕や手首が柔らかく使えているように見える、ようになったわけです。
つまり「手首を柔らかく使って!」は手首だけを柔らかくするのではない。
全体がうまく使えるようになった結果として手首が柔らかく使えるのです。
もちろん、動きを良くする戦略として「その動きに必要な要素を加えてみる」と言うのがあり、結果的には手首を使うことになるため動かしてみるということは練習の一つです。
しかしそれをやったとしても根本的な改善には至りません。
ピアノ演奏は手や腕だけが行っているのではありません。
日本のピアノの先生の9割くらいが身体理論をまともに学んでおらず、指導者から習ったことをそのまま伝えるレッスンをしています。
動きが硬いと散々言われ続けた子供時代、学生時代。
そのころにフェルデンクライスに出会えていたらよかったなあと思いますが、ジストニアという難病をきっかけにようやくたどり着いたので、ある意味究極的な世界の話なのかもしれません。
講師かなざわのレッスンで55分を選んで頂けますと、動きを行うこととピアノを弾いて違いを感じ取って頂くことの両方ができます。85分レッスンを選んで頂きますと動き、演奏、練習法含めた完結した内容を体験して頂くことができます。
痛み、疲れ、上達に悩む楽器奏者の方、歌い手の方はぜひご利用ください!
音高、音大受験等で演奏に限界を感じている学生の方もぜひ体験してみてください♪
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