発達障がい・その他の障がいに関すること

自閉症の息子と音楽の歩み〜感覚過敏で苦しんだ幼少期から、エレキギターを弾く現在まで〜

こんにちは。行田市のさちピアノ教室主宰、かなざわさちです。

当教室には、発達特性のあるお子さんも多く通ってくださっています。保護者の方からご相談を受けることも多いのですが私自身も、発達に特性のある息子を育ててきた母親の一人です。

息子は、3歳の時に知的障がいを伴う自閉症と診断され、のちにADHDの診断も受けました。 吃音もあります。現在は高校生になり、アルバイトをしたりエレキギターを楽しんだりしていますが、幼少期は本当に壮絶な毎日でした。

今、当時の私と同じように暗闇の中で悩んでいるお母さん・お父さんの希望になればと思い、息子のこれまでの歩みと、音楽を通じた変化について振り返ってみたいと思います。

眠れない、外出できない…パニックの連続だった日々

当時の息子は、極度の場所見知りと感覚過敏があり、日常のすべてが困難の連続でした。

  • 言葉が喋れない
  • 激しいパニック:外出が極端に怖く、連れ出すと息が止まるほど激しく泣き叫び続けました。
  • 極端な偏食:決まったパンとジュースしか口にできませんでした。
  • 深刻な睡眠障害:小学1年生頃までは夜中に何度も起きて泣き叫び、朝まで眠れない日が続きました。

感覚の受け取り方が定型発達のお子さんとは大きく異なっていたため、便を壁に塗ってしまうといった行動もありました。これには疲弊しました。また、顔に水が触れることへの恐怖心が異常に強く、小学3年生まで頭を洗うことができなかったのです。(濡れたタオルで少し拭くのみ。)
小学5年生まで体育の水泳はいつも見学。

小学1、2年時の小学校の校長先生と1年の時の担任の先生からこうした症状は『お母さんの愛情不足なのでは』と言われ、息子ではなく私自身が小学校へ行くことを放棄しました。(そのおかげで夫が学校関係を全てやってくれるようになりましたが(笑))
小学5、6、年の外泊を伴った学校の旅行は家族がいないところで一人で泊まるのが不安ということで、夫が現地まで行き、お友達とは別の宿泊施設に夫と泊まりました。

必死に学んだ日々が、今のレッスンの原点に

「息子がどうにかして生きていきやすいように。」 その一心で、私は感覚統合やシュタイナー教育、そして身体へのアプローチを貪るように学び始めました。

特に、発達をサポートする「フェルデンクライス・メソッド(心地よい動きを通して脳と神経系に働きかけ、神経系を成熟させる身体技法)」との出会いは、息子の心身の成長に大きな変化をもたらしてくれました。フェルデンクライスの指導者講習で学んできた手技を夜寝る時に行うと、夜中に泣き叫んでいた息子が寝るようになり、夜も起きづらくなり、癇癪や感覚過敏も減って言ったのです。ここから急激に発達していきます。(手技は年長さんくらいから始めました)

フェルデンクライスメソッドは、すでに私がかかっていた音楽家の神経系の難病「フォーカルジストニア」に効果があることがわかっていて確信があったため、その身体と感覚へのアプローチを息子が中2になるまで続けました。そして小学校卒業時にはIQが100を超え、知的障がいの枠から外れて療育手帳を返却するまでに成長したのです。
もちろん、発達を促せると思った習い事もやりました。

合気道(小5くらいから現在も継続)
エレキギター(小5くらいから現在も継続)
心理士の先生による療育(年少から中2まで(場所が駒込で遠方で休みも削る必要があるため、息子が鉄道の旅に出たい欲求に勝てなくなり終了))
ピアノ(母による指導、とは言っても一緒に遊ぶような感じ)
ボルダリング(小4くらいから現在も継続)
ビジョントレーニング(視覚認知の発達は非常に重要、小2くらいから始めてずっと続けていましたが、中学を卒業するあたりで先生がご高齢で辞めてしまい、終了。)
個人レッスンでの水泳(小学5年から中3まで。水を顔につけられなかったのが、とんでもなく速く自由に泳げるように。先生が他の仕事を始めることになってしまい終了。)

習い事は継続が命、継続しないと大切なことが見えてきません。だから余程の事情がない限りはやめないのが我が家の信条です。

音楽とともに歩んだ成長の軌跡

息子のそばには、いつも「音楽」がありました。 百聞は一見に如かず。息子がどんな風に音楽と関わり、変化していったのか、よろしければこちらの記録をご覧ください。
①8歳の時:B’zの永遠の翼を歌唱
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初めて発表会で歌を歌いました。今も好きでやまないB’zの永遠の翼です。いとこがいつも発表会で歌っているのを見ていて「僕にもできる気がする」と言ったため、この日に至りました。なぜ自分にできる気がしたのかは謎です(笑)ていうかみんなできるんですけどね。

② 10歳:ひょうきんな連弾練習
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ダンシングライン(ゲーム)より3周年という曲がとても好きで、この曲だったら発表会で弾いてもいいと言ったため、死ぬ気で楽譜を探し、なかったため友達に依頼して作ってもらった連弾曲です。友達とはいえ結構お金を払いましたが(2万五千円くらい)、美しく荘厳なアレンジでとても良い思い出になりました。

③ 中学2年生:大ピンチの中、ボーイソプラノで歌った「アヴェ・マリア」
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発表会の3日前くらいに風邪を引き、声を出すと途端に咳が出るという大ピンチの中、前日のレッスンの際、ハミングで歌うと咳が出にくいということを発見し、歌詞ではなくハミングで歌い通しました。途中のどを守るため水を飲んでいます。なぜか視聴回数4.6万回超えの大ヒット動画となりました。

④ 高校1年生(現在):エレキギターで演奏する「高嶺の花子さん」
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教室生の皆さんと発表会へ向け練習している様子です、この日は初めての合同練習でした。ギターで生計を立てれるようになりたいと言っていますが、それにしては練習意欲が。。。でも小学5年生でエレキを習い始め、バンド編成でも責任を持って弾けるくらいには上達しました。

外出できなかった息子が、一人で全国を旅するように

高校1年生となった現在、息子の成長は音楽だけにとどまりません。 幼い頃は極度の場所見知りで、一歩外に出るだけで息が止まるほど泣き叫んでいた息子ですが……今では、重度の鉄道オタク(もはや中毒!?)へと変貌を遂げました!

毎週必ず、ここ埼玉県行田市から新潟や福島まで足を運び、大好きなSLに乗ってくる日々を送っています。月に一回は一人で外泊し、地理に疎い私には見当もつかないほど遠くの地まで鉄道の旅を満喫しているようです。 この前も「ちょっと行ってくる」と午後に出かけた先が、「長瀞」でした(汗)。息子にとっての「ちょっと」は片道2,3時間なんですね……。

先日の高校のイベントでは、「福岡(福岡県)に集合!」という合図のみを頼りに、自分で全て計画して参加しました。 行き方のサポートなどは敢えて何も手伝わない、徹底的な自立を目指す高校です。
寝台列車や新幹線、在来線を駆使し、一番安いルートを自分で探して2泊3日を存分に楽しんできました。親は何も手伝っていません。「まだ暑いから清潔にしないと友達から嫌われるよ」と声はかけました(笑)。
これら旅に必要な費用をすべて「自分のアルバイト代」から捻出しています。(もっとも、そのように仕向けたのは私ですが。笑)

現在、大手チェーンの精肉店で週4日・1日5時間のアルバイトをしており、月に10万円近くを稼ぐようになりました。始めてから半年以上経ちますが、今まで一度も遅刻や欠席をしたことがありません。単発でアート引越センターのムキムキ体力仕事や、イベント設営の仕事などもこなしています。 今では鉄道の旅費はもちろん、習い事代、美容院代、服代など、衣食住以外の費用はすべて自分の稼ぎで賄うまでになりました。

鉄道と同じくらい熱中しているのが「B’z」です。 先日も、B’zのエレキギター・松本さんの単独ライブに、一人で羽田まで行ってきました。観客は40代後半〜60代くらいの方が多く高校生は息子くらいだったようですが、本人は大満足。 さらに、B’zのライブが関東圏であると知ると「チケットは取れなかったけど外に音が漏れてるから聞いてくる!」と出かけて行きます。50年近く生きてきて「そんな聴き方があるんだ。。。」と教えられました。

不可能を可能に

「不可能を可能に、可能なことをやさしく、やさしいことを優雅に」

これは、身体技法「フェルデンクライス・メソッド」の創始者、モーシェ・フェルデンクライスの言葉です。

「2度と話すことはないかもしれない」 言語聴覚士さんからそう言われたあの日。それから現在に至るまで、息子は自分自身の力で、不可能を可能にし続けています。

それは決して「特別な人」だけがなすことではなく、実は誰しもに備わっている力だということ。 フェルデンクライスを通した毎日の学びが、それを確信に変え、今の私を力強く支えてくれています。もちろん、私自身や皆さんの中にも、そのような力が眠っていることがわかります。

さちピアノ教室では、お子さん一人ひとりの感覚やペースにそっと寄り添い、音楽を通した「心と身体の成熟」を目指しています。
「より良い自分になりたい」と思う気持ちは、どんな人も同じなのではないでしょうか。 生徒さんそれぞれが、ご自身のことをもっと好きになる。そんなお手伝いができたら嬉しいです。

ピアノレッスンのことはもちろん、発達が気になるお子さんのサポートについても、公式LINEまたはお問い合わせフォームからいつでもお気軽にご相談くださいね!

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