講師のブログ

姿勢の「まっすぐ」についての話

講師かなざわです。今日は私の10年以上学んでいる身体訓練法「フェルデンクライス」の著書から一文を引用します。

「まっすぐ」についての姿勢の話。

まっすぐという言葉は誤解を招きやすい。
必要な内容を表してもいないし、ましてや姿勢を改善したあかつきにはいずれ実現できるはずの状態をも表現してはいない。

姿勢についての「まっすぐ」という言葉は純粋に美学的な意味に使われているに過ぎず、だから役には立たず、正確でもなく、したがって、欠陥の修正を測る基準には使えるわけがない。

普段使われている「まっすぐ」という意味が、正しい姿勢というものの内容といかに食い違っているかをよく理解しようと思うならば、身体障害者のひとの場合を考えてみたら良い。
障害者はからだを正しく、効果的に優雅に使うことが果たしてできないだろうか。

障害があっても、健康なひとよりも優れた能力を発揮している人は少なくない。
骨格構造に重大な損傷をこうむっていながら、際立って力強い、正確で優美な動きのできる人は現に存在している。
しかし「まっすぐ」という概念をそういう人たちに当てはめるわけにはいかない。

フェルデンクライス身体訓練法より引用

親や学校の先生などから人生において少なくとも1回以上は「姿勢をまっすぐにしなさい」という言葉をかけられたことがあるのではないかと思います。
自分の感覚の中で「今、まっすぐな感じがする」と感じることは良いのですがそれを他者に言う場合、声をかけられた人は自分の中の基準において「まっすぐ」な感じを形作ろうとします。そうしたときにできる姿勢というのは機能的な姿勢とは大抵ほど遠く、かえって無駄な筋肉により自分を動きにくくさせてしまいます。

ピアノの指導者でもこうした言葉を使ってしまう方はたくさんいらっしゃいます。
私は、フェルデンクライスを学ぶようになってから体のことをよく知らずに指導する恐ろしさを知りました。
どんなに素晴らしいピアニストであったとしても、ではなぜそのように弾けるのかと聞かれたら「わからない」場合が多いです。
そして、一時的に頑張っていろいろ弾けるようになったとしても、それが長く継続できないようなスキルとして身についてしまったり体を痛めることになるのでは辛いです。これは私自身がそうだったからわかります。私はフェルデンクライスに出会わなければ体が痛いことによりピアノを弾くことをやめていたと思います。

さちピアノは脳科学をベースとしたメソッド、フェルデンクライスを応用し、指導方針にしている日本では数少ない音楽教室です。動きは神経系を通して作られます。つまり神経システム(脳)を変化させなければ動きは変わらないのです。
筋肉をいくら鍛えても動きは変わりません。
神経系を変化させるには辛さや頑張ることは必要ありません。必要なのは長期間継続すること、そして忍耐強くやり続けることです。

先日とても驚いたのが、私が大学生の時にショパンの英雄ポロネーズという曲のあるパッセージが簡単に弾けるようになっていたこと。
この曲は、途中左手でオクターブの和音を弾き続ける箇所があり、当時は頑張れば何とか弾けるけど速度も出せないし、すぐに疲れてしまって腕が痛くなるという現象がありました。なのでこれは私には弾けない曲だなと記憶していたのですが、最近弾いてみたら、全く練習していないのに頑張らなくても弾ける!疲れない!簡単に速く弾ける!ようになっていたのです。
フェルデンクライスを10年以上毎日続けている成果がはっきりと現れた瞬間でした。

ただ、毎日たった20分くらいの動きを家で寝っ転がってするだけですが継続することが難しいようで、レッスン中に少し垣間見て頂くことはできても毎日するところまでいける生徒さんはなかなかいらっしゃいません。過去に2名毎日やってくださった方がいらっしゃりその上達は凄まじかったです。

私たちは100メートルを15秒で走っているとしたら、それを速めることはできないと思っていると思いますが、それを走る練習をすることなく速めることができてしまうのがフェルデンクライスです。
さちピアノではビデオ視聴により行うコースも用意しています。興味のある方はお問い合わせください!

フェルデンクライス応用の動きの前に、骨格の説明をする講師かなざわ、受講しているのは講師石田(ふう先生)です。
動きの後の感想。多くの方が背中の後ろがぺたっと床につくことは感じるようです。彼はほぼ毎日やるようにしてくれているため、今後の変化に期待!




さちピアノ教室
https://sachi-piano-feldenkrais.com/


〒361-0044 埼玉県行田市門井町3丁目25-20