「新生児からOK」の縦抱きに、疑問を投げかける理由
講師かなざわです。今回ご紹介する考え方は、一般的な育児アドバイスや流行の育児グッズ批評ではありません。この考え方を書いたのは、フェルデンクライス・メソッドから派生した「シェルハブ・メソッド」の公認プラクティショナーである高尾先生で、自閉症の息子も何度かお世話になり、現在でも参考にし続けている素晴らしい指導者です。
医療機関の指導を否定する立場でも、育児を不安にさせたい意図もありません。それでも、あえて「首すわり前の縦抱き」についてメッセージを出しているその背景には、身体発達を専門に見続けてきた視点があります。
結論はとてもシンプル
『首すわり前の赤ちゃんを、抱っこ道具で長時間、縦にする時間はできる限り減らしてほしい。』
短時間の抱き替えや、ゲップのための数十秒〜数分は問題ありません。問題なのは
「抱っこ紐という“道具”で縦の姿勢を継続させること」
です。
理由
理由はとても単純です。赤ちゃんの頭は、とても重いから。
首も、背骨も、筋肉も、まだ「支えるため」に育っていない時期に、その重い頭を体の真上に持ってくる。左右にぐらつかないようにどれだけ丁寧に支えたとしても、重さそのものはかかり続けます。
「動かない=楽」ではない
抱っこ紐の中で赤ちゃんが静かにしていると、
「落ち着いている」
「安心している」
そう見えるかもしれません。
でもフェルデンクライスやシェルハブ・メソッドの視点では、それは必ずしも楽だからとは限りません。未熟な体に負荷がかかると、赤ちゃんはその重さに耐えるために筋肉を固めて対応しようとします。
この緊張は、
- 抱っこ紐から出したあとも残り
- 首や背中に張りとして現れ
- 神経の通り道にも影響する可能性があります
これは「エビデンスがあるか・ないか」の議論以前に、身体の構造として自然に起こる反応です。
高度な調整は一般の人には難しい
理論上は、
- 首のカーブを保ち
- 頭の重さを体にかけず
- 全身で分散させる
そうした非常に繊細なサポートが「できる人」もいるかもしれません。ですが、それは専門職の中でもごく限られた人の話です。ましてや、
- 歩きながら
- 移動しながら
- 長時間
それを維持するのは、一般の保護者には現実的ではありません。
どうしても外出が必要な場合は
どうしても一人で外出が必要な場合、
- できるだけ短時間にする
- 可能なら付き添いを頼む
- 帰宅したらすぐに抱っこ道具から出す
そして、
- 横にして
- 優しくなでる
- 体を自由に動かせる時間をつくる
「制限されていた体を解放する」その意識を、ぜひ持ってほしいのです。
「みんながやっている」から、は理由にならない
市販されているから。病院でOKと言われたから。周りがみんな使っているから。それは安全性の最低ラインであって、その子の体にとって最善かどうかとは別の話です。
シェルハブ・メソッドは、「その子の体が、今どう感じているか」を最優先に考えます。
最後に
子育ては大変、だから便利さを否定はしません。ただ、考えて想像してほしい。赤ちゃんの体は、まだ「支えるため」ではなく「育つため」にある。その前提に立ったとき、選択は自然と変わるはずです。

自閉症、ADHD、知的障害、吃音、感覚過敏。複数の発達特性をもつ息子を、私はフェルデンクライスの考え方を土台に育ててきました。
幼少期は日常生活そのものに多くの困難がありましたが、現在(中学3年)ではIQ100を超え、合気道やボルダリングに打ち込み、ギター練習を欠かさず続ける中学生へと成長しました。自分で計画を立て、一人旅で外泊したり、住み込みで1週間以上遠方で働いたりと、自立した姿を見せてくれています。
この成長は偶然ではありません。息子の神経系に大きく働きかけたのが、フェルデンクライスでした。動きを通して神経系にアプローチすることで、「できるようにさせる」のではなく、本人の中に本来備わっている力が、自然に育っていく。
私は親として、その変化を何度も目の前で見てきました。
同時にこのメソッドは、私自身が音楽家として患った神経の難病・フォーカルジストニアの克服にも、決定的な効果をもたらしました。息子の身体と、私自身の身体。両方を通して、その確かな作用を実感しています。
この経験を、発達に不安や迷いを感じている親御さんたちに届けたい。その思いから始めたのが、月額2,500円・動画見放題のサブスクリプション講座「コンシエンシア」です。
家庭でできる関わり方、身体の使い方、動きの視点を通して、お子さんの発達を内側からやさしく支えるコースです。
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