講師のブログ

ピアノ上達のヒントは「赤ちゃんの発達」に?シェルハブ・メソッドから学ぶ身体の使い方

こんにちは!講師かなざわです。
ピアノを弾くとき、指先や腕の動きばかりに意識が向いていませんか?実は、自然で無駄のない身体の使い方を身につけるための大きなヒントが「赤ちゃんの発達」に隠されています。

赤ちゃんの可能性を引き出す「シェルハブメソッド」の専門書を熟読中です。前回は1章の内容をピアノや発達に活かす形で書きました。今回は2章編です。

赤ちゃんはどうやって自分の身体を知るの?

生まれたばかりの赤ちゃんは、どのようにして重力のある世界で動くことを覚えていくのでしょうか。本によると、以下のようなプロセスがあるといいます。

  • 生後1週間の赤ちゃんは一見あまり動いていないように見えますが、体重を移動させ、体の違う部分を床に押し付けています。
  • 片手や片足が床に押し付けられると、赤ちゃんはその重みを感じ、圧力が皮膚や筋肉を通って脳に届きます。
  • 床を押している足から受けるフィードバックが、意思を伴う動きが発達するための基礎になります。
  • 半身で床に圧を加えてそれをやめる、という感覚刺激の情報を脳に伝えることで、「身体図式」という自分自身の体の地図を明確に形づくる助けになります。

 身体図式が明確になることで、体の各部位がはっきりと感じられるようになり、動きがよりスムーズになります。
このように、赤ちゃんは「床」という抵抗を感じることで、自分自身の身体の輪郭(身体図式)を描き、複雑な動きを獲得していくのです。

ピアノの鍵盤を「床」に見立ててみよう

この「感覚と動作のフィードバック」は、ピアノの練習にもそのまま応用できます。

ピアノを弾くとき、私たちはつい「音を出すこと(出力)」ばかりに気を取られがちです。しかし、赤ちゃんの学び方に倣うなら、「鍵盤から指に返ってくる感覚(入力)」を味わうことがとても重要になります。

【具体的な練習の例え】

鍵盤をただ「叩く」のではなく、指の腹が鍵盤の底に触れたときの鍵盤の「圧」を静かに感じてみましょう。

赤ちゃんが床に足を押し付けて自分の足の存在を知るように、指先から腕、肩へと伝わる抵抗感を感じることで、脳の中の「ピアノを弾くための身体の地図」がより鮮明になります。結果として、無駄な力が抜け、より豊かでコントロールされた音色を作ることができるようになります。

呼吸と口元の緊張に気づくレッスン

もう一つ、ピアノの練習にすぐに取り入れられる興味深いレッスンをご紹介します。メソッドのワークの中に、床に圧を加える際の「呼吸」と「口元の緊張」に注目するものがあります。私たちは体に圧を加えるとき、無意識に口や舌の筋肉を収縮させがちです。
動くときに口と舌がリラックスするように意識を向けると、呼吸がより滑らかに、より深くなります。
ピアノの難しいパッセージを弾いているとき、無意識に息を止めていたり、奥歯を噛み締めたり、舌に力が入っていたりしませんか?

【具体的な練習】

難しい曲を練習するとき、一度手を止めて、自分の口の中(舌の緊張)に意識を向けてみてください。意図的に口を閉じ、舌を固めて息をしてみた後、それをやめてリラックスさせてみます。
口や舌の緊張を解き、自然な呼吸を続けることを意識するだけで、不思議と腕や指先のこわばりも解け、動きがスムーズになることが多いです。

おわりに

子どもの発達の過程には、私たちが本来持っている「自然で無駄のない身体の使い方」のヒントが詰まっています。

シェルハブ・メソッドやフェルデンクライス・メソッドを通して身体の感覚を研ぎ澄ますことは、発達特性のあるお子さんのサポートはもちろん、ピアノの演奏技術の向上にも確実につながっていきます。

練習では、ぜひ「鍵盤から伝わる感覚」と口や下の緊張を解いた「自然な呼吸」に耳を傾けてみてくださいね。

さちピアノ教室
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